趣旨:「予測市場(Prediction Markets)」
「予測市場(Prediction Markets)」に関する関心が、最近、欧米を中心として、急激に高まっています。予測市場の代表的なものは、たとえば、アイオワ大学経営大学院の大統領選挙先物です。これは、2008 年の大統領選挙において、共和党が勝てば1 ドルを、負ければゼロドルであるようなペイオフを約束する証券をネット上で取引きする市場です。たいへん注目するべきこととしては、こうした不確実な将来イベントに依存したペイオフに対する賭や、証券投資の結果としてきまるその市場価格データから、イベント生起確率を予測でき、かつ、そうした予測が、世論調査期間や専門家による予測よりも正確であったことであります。
予測市場で取引される原資産は、株や債券、為替など金融指標にとどまらず、ありとあらゆるリスクや不確実なイベントがあります。伝統的には、欧米の賭屋 (Odds Bodkins)が取り扱うスポーツイベントにとどまらず、政治イベント、天候、オスカー受賞、マクロ経済指標、判決、大災害(台風や疫病など)が多数のものがあり、これらはインターネットを通じて、世界中から投資や賭けが可能です。
また、最近では、企業内にこうした予測市場を作成し、自社の将来に重大な影響を与えうるイベントや戦略の予想確率を推定しようとする試みもあります。いまや、欧米の投資銀行は、予測市場をネット上に設定し、様々な経済予想やそれを原資産とするオプションを取引しようとしています。多くの経済、ファイナンス分野の研究者は、予測市場データを分析し、新たな視点を提供しつつあります。
このワークショップでは、予測市場をリアルオプション取引市場としてとらえ、海外における予測市場の動向、日本における試み、アカデミックな研究動向、予測市場の構築方法、企業や国などがどのように予測市場からの情報を政策決定や企業戦略決定に利用できるのか、といった問題などについて議論をします。 |